<< 『大正野球娘。』を楽しむための一冊 | main | 中島らも「DECO-CHIN」感想 >>
2009.07.28 Tuesday

馬鹿新聞記事の幼稚さに驚く

0
    「『骨の折れる仕事』?骨折は嫌」 日本語できない学生や社会人、増加…60%が“中学生レベル”の大学も という記事。
    捏造だろう。捏造でなければ馬鹿だろう。どっちかだ。

    ほかの人に比べると話し好きです」「思いやりがある方です」…このような文章を記した紙を学生に渡し、イエスかノーで答えてもらった。外向性などを診断する性格検査だ。

    間もなく20人ほどの学生のうち、数人が手を挙げた。
    「『怠惰』って何」「『まごまごする』ってどういう状態?」
    想定内の質問もあったが、就職を控えた女子学生が発した言葉には耳を疑った。
    「骨が折れる仕事は嫌です」という文章を指さし、「『骨折する仕事』が嫌なのは当たり前。
    違う意味があると思ったので…」と首を傾げたのだ。
    この記事が捏造であることは簡単にわかる。
    大学での“外向性などを診断する性格検査”だよ?
    自分が学生だと想像してみてほしい。
    よく知らない言葉が出てた。質問するだろうか?
    たとえば、“生活が懶惰ですか?”という質問があったとする。
    手をあげて、「懶惰って何?」と質問するだろうか?
    懶惰を「らんだ」と読むという確信はない。懶惰の意味が正確に把握できてる確信はない。
    でも、まあ、「外向性などを診断する性格検査」だよ? てきとうに答えるだろう。

    ところが、この記事では、“20人ほどの学生のうち、数人が手を挙げ”て、質問をするのだ。
    すばらしい学習意欲だ。
    さらに記事はこう続く。
    “「骨が折れる仕事は嫌です」という文章を指さし、「『骨折する仕事』が嫌なのは当たり前。違う意味があると思ったので…」と首を傾げたのだ”
    こんな生徒がいれば、それは喜ばしいことだ。
    知識はないが、疑問に思うパワーと、前後の文脈から違う意味があることを推測するパワーと、質問をしようとするパワーがある。
    さらに“全員の前で、それぞれの意味を伝えたが、多くの学生が説明に聞き入っていた”のである。
    多くの学生が説明に聞き入るのだ。
    なんという学習意欲!
    すばらしい学習の場!

    もし講師が、そのような場を作り出しているのなら、「ついに、ここまできたか…」と言って言葉を失うわけがない。
    だから、すばらしく学習意欲のある生徒たちが偶然集まってしまった場なのだろう。
    なのに、日本語理解がこのレベルだ、と? 
    ありえない。
    もしあるのなら、なぜか突発的に学習意欲が向上した、もしくは短大生になる前は日本語を母語として使わない世界にいた人たちだろう。

    が、まあ、そんな非現実的な想像をめぐらすよりも、答えは簡単。この記事が捏造なのだ。
    (もしくは、重要なことを見逃して、「日本語できない」にすり替えてしまった馬鹿記事だ)

    そもそも、どうして、この強烈なエピソードを紹介する“私立短大に勤める講師”は匿名なのか?
    あとから出る調査を取った小野博教授は、名前を表記しているのに、どうして匿名なのだろう?

    産経も、こんな低レベルな捏造(もしくは馬鹿)記事を作る前に、自分たちの日本語能力、記者能力を高める努力をしたほうがいい。
    ほんと、いいかげん新聞社つぶれるぞ。
    佐々木 俊尚『2011年新聞・テレビ消滅』のタイトルの予言が当たっちゃうかもよ!
    コメント
    2004年にも似たような記事があったらしく、つっこんでるサイトがありました。
    http://oak.zero.ad.jp/bee/sansuu/okasii/okasii.html
    • 池田
    • 2009.07.29 Wednesday 00:07
    生徒のほうがはるかに優秀でみえみえの性格検査に失笑が隠しきれず、
    「『怠惰』って何すか?俺よめねっす(笑)」
    「『まごまごする』ってどういう状態すかねえ?あんたのこと?(笑)」
    「性格審査で記名制だったら『骨が折れる仕事』が嫌とか普通答えられないでよね?『骨折する仕事』が嫌ってことなのかな?違う意味があると思ったので…(笑)」
    とか、からかわれていたのを、精神の平衡を保つためにこういう話に再構成した可能性もあると思います。
    あ、馬鹿に含まれるか。
    • ゾンビ
    • 2009.07.29 Wednesday 00:08
    ひゃああああ。すごいな。リンク先、すごい。そうかー。捏造のうえに、使い回しかよ。

    あと、「『骨の折れる仕事』?骨折は嫌」は、2007年の記事らしい。最近の記事かと思っちゃった。ネットの時間トリックにひっかかった。

    ゾンビさん指摘の内容が正解だとしたら、追い打ちをかけて悪いコトしたね、そのひとに。ごめんー。
    • 米光
    • 2009.07.29 Wednesday 01:50
    うーん。もしこれが事実だとするとその生徒は物事の本質を確実につく能力を持っていると考えられる。
    進んでいく言語の記号化で、この生徒はその輝ける感性を持って、我々に物質文明の持つ危うさを教えてくれたのではないだろうか?
    骨の折れる仕事、をただ難しい仕事、としか捉えることの出来なかった我々を、この生徒は自身の恥を持って指弾してくれたのだ。これにより、我々はより、言葉と深く繋がるべきなのである。
    (パロディで遊んで見ました)
    • 木魚
    • 2009.07.31 Friday 01:25
    コメントする








     
    この記事のトラックバックURL
    トラックバック
    Calendar
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031    
    << October 2017 >>
    Selected Entries
    Categories
    Archives
    Recent Comment
    • 文章を書いたらチェックしたい17の項目改2
      米光 (06/13)
    • 「キングオブワンズ」またも復活
      頼鳥 翠 (02/20)
    • 『魔導物語』20周年記念メモ
      /Tachesci (11/23)
    • 「アンチオレンジレンジ」サイトが「オレンジレンジファン」サイトになってる理由
      x hot アイアン (08/13)
    • 発想力トレーニング講座「想像と言葉」
      おやつ (06/22)
    • 宣伝会議編集ライター講座上級コース第7回目
      米光 (04/28)
    • 宣伝会議編集ライター講座上級コース第7回目
      通りすがりA (04/27)
    • 偶然を味方につける
      う。m (03/17)
    • 「人生は神ゲー」と考えてみるゲーム(ゲーミフィケーションについて3)
      もやし (01/22)
    • 日本公式萌えキャラ「ひのまるこちゃん」とか作ればいいんじゃないか。
      笹 (06/17)
    Recent Trackback
    Recommend
    自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法―“企画の魔眼”を手に入れよう
    自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法―“企画の魔眼”を手に入れよう (JUGEMレビュー »)
    米光 一成
    “「ぷよぷよ」を作った人気ゲームクリエイターが、若手育成カリキュラムの中から生み出したトレーニング法を公開!”
    Recommend
    仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本
    仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本 (JUGEMレビュー »)
    米光 一成
    「楽しいプロジェクト型」で仕事を楽しくデザインするための攻略本。
    Links
    Profile
    Search this site.
    Others
    Mobile
    qrcode
    Powered by
    30days Album
    無料ブログ作成サービス JUGEM