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2009.05.17 Sunday

「オタクVS信者」としての『ダ・ヴィンチ・コード』

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    映画ロン・ハワード監督『ダ・ヴィンチ・コード』を観た。

    原作は、あっという間にあの長さを読んでしまう娯楽大作として楽しい楽しい(ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード ヴィジュアル愛蔵版』)がちょと欲しい)が、
    ラストの盛り上がりが地味だし、トンデモ蘊蓄部分は活字だよなーと思ってたので、映像で観ることもねぇかと思い観てなかったのだけど、なんか、主人公のおっちゃんが、講演会やってるシーンのプレゼンが素敵だったので、ついつい観てしまった。

    で。
    映画『ダ・ヴィンチ・コード』は「オタクVS信者」の話として観ると、すっごくおもしろい!
    ツッコミどころ満載だって言われる作品だけど、「オタクVS信者」という視点で観れば、すべて腑に落ちる

    「胸刻んで五芒星描いて、ウィトルウィウス的人体図を模して、暗号作ってから、死ぬって、そんなめんどうなダイイング・メッセージしねぇよッ」ってのが代表的なツッコミだろうが、オタク最後の作品づくりだと思えば、あるある!
    死ぬ間際に、自分のオタク知識を総動員して、しかも育てた娘に向けて作品をつくるのだから、できるだけ凝ったモノにしなくちゃならない。
    オタク知識を受け継いでほしいという意味もあるから、なるべく迂遠である必要もある。娘にいろいろ学んでもらわなきゃならないからな、オタク知識を! なので、ああなったのだ。
    オタクなら、ああするでしょ。俺だって、あの状況なら、すっごい謎とヒントを残してゲーム作家生命を(まさに!)賭けてライブゲームを仕掛けたいと思うもん。

    聖杯の探求に生涯をかけたイギリスの宗教史学者のリー・ティービングも、オタク・チーム。
    「指名手配の人間をかくまうことになって、これ以上迷惑はかけられない」とロバート・ラングドン教授に言われて、「何を言うか。いままでは私は過去の歴史を調べていた。それを今夜、君達が、その歴史へとわたしを招待してくれたのだ」という意味のセリフを(もう記憶によって改変しちゃってるけど)言うところなど、オタクが夢を実現したシーンとして秀逸。
    プリキュアファンのところにプリキュアがやってきて、キュアローズガーデンに連れてってくれたような状況ですから。ディーン・パリソット監督『ギャラクシー・クエスト』的状況ですよ。

    そして、ラストの「あ、あの人が悪者!」的シーンも、オタクの執念の深さがいかに凄まじいかを示すシーンであり、捕まったにも関わらず、あることに気づくと高らかに笑っているシーンは、オタクなら捕まって社会性を失っても、オタク的対象が成就すると思うだけで幸せになれるという強烈なメッセージだ。
    その点、信仰は、信仰に殉ずる死を選ぶので、対決になると、かっこよく死んでしまって、争奪戦においては勝利できないという弱点を持つことが示される。

    ラストシーン。
    映像的には、何も起こらず主人公の頭の中の出来事で肩すかしなシーンだが、傍から見ると地味であろうとも脳内では妄想が炸裂しているオタクの至福の瞬間を描いていると観れば、しみじみと感動的である。
    しかも、オタクは、すごい発見をしても、社会性がないので、世間的には何にも変わらない(特に暗号マニア娘などすっごい社会的変化があってもいい状況なのに、オタクグループに参入しましたってだけで終わってしまう!)っていうしみじみ感も表現されている。
    この「オタクVS信者」に社会的勝利者はいないのである。だが、殉死とオタク的満足によって、個的信条の勝利者はいっぱいだ。

    オタク万歳映画として、絶賛しておく。
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