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2008.12.25 Thursday

『ビジュアライジング・データ』感想

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    Ben Fry, 増井俊之監訳,加藤慶彦訳『ビジュアライジング・データ』
    400ページ、コードもたくさん。というわけで、ザックリと飛ばし読みした程度なのだが、じっくりと読み終わるにはまだまだ時間がかかりそうなうえに、あれこれいろいろ考えたので、脱線な感想になりそうだけど、感想。

    情報視覚化するための本
    こういった入門書は、なるべく具体を避けて、どんな場合にでも共通する抽象レベルで語ってしまう本が多い。
    情報視覚化の概要を誰にでもわかるようにしようと考えると、Processingという言語を知らない人も対象にしたほうがポピュラリティを得られるので、Processing言語は使わない。
    だが、そうしちゃうと、けっきょく概要は分かるが、実践としては使えないなんてことになる。わかってる気分になれるだけ、なんてことになりかねない。
    ところが、この本は、Processingを使って表現するという具体をしっかり取り入れたことで、Processingを使わない人にも応用可能なビジュアライジングの本になった。

    学校の教科書がつまらないのは、だれもが「うんうんそうね」といえる話題しか扱えないからだ。
    何かを作るための会議で一番つまらないものを生み出すのは、全員が納得するように内容をあれこれ言い合った結果、多数決的に決めちゃうパタンだ。大勢が納得するものは、無難で、ありがちなものしかない。誰もが想定できる従順な未来のための選択、安心な選択は、わかりきっている安易な選択だ。本来、人はそれぞれれ違う感じ方をするのだから、多数決では無難な妥協案しか通過しない

    入門書が概要を伝える以上の役に立たないのは、無難で、まあありがちな(つまりは古くさい)パタンを示すことしかできず、具体性に欠けるからだ。この現場ではこうである、あの現場ではこうである、といった違いこそが、現場の独自性であり、肝心なところである。
    そして、その違いを明示することで、その現場とは違う自分の現場でも、応用可能なハウツーとなりえる。
    それをしていない無難な抽象レベルでの解説は、そのまま自分の現場に応用できそうに映るが、具体的にする困難さがつきまとううえに(そこがもっとも困難なポイントなのだ。「早起きするためにはぐっすり眠ろう」ってアドバイスは何の役に立つ?)、そもそも解説が無難なものなのだから、無難な具体に導かれやすい。
    だから、入門書は、概要をわかりやすく伝えることに専念すべきで、薄いコンパクトな本であるべきだ(教科書よ、もっと薄く)。

    そこから抜け出るためには、具体的に選択をして、その具体で一例を示し、読者がそれを普遍化、応用化すべきだと思う。
    たとえば、本書が1章の「情報視覚化の7ステップ」(データ収集→解析→フィルタリング→マインニング→表現→精緻化→インタラクション)だけだったら、読者が応用するのは困難だろう。
    だが、それ以降の章で、その基本原則をProcessingで実践し具体を示すことによって、応用可能になった。
    2色間で色を変化させて数値を示す場合、RGBカラーベースを使うと変化がぼんやりしがちで、HSBカラーベースを使うと明度とコントラストが改善される。何故そうなるのかがていねいに解説されている。といったような具体は、それ以外の場合にも応用可能だ。

    そういう意味で、入門書を一歩抜け出した、読んで応用するための「情報視覚化入門書」
    Processingはとてもとっつきやすい言語(環境は無料だ)なので、ついでにProcessingも覚えるといいよ。

    ルールやシステムをどう視覚化するかというポイントで読むと、ゲームデザインをしようと考えている人にも応用可能なはずだ。

    と書きつつも、ぼくじしんは単純に、散布図、折れ線グラフ、関連図、ツリーマップ、相関図といったようなグラフィカルな表現が好きなので、それをチクチクと見たり、ほーそうすればこうなるのかとかを、あややーいいなーとか言いながら、眺めたりしてる程度なんだが。
    コメント
    うふ。グラフお好きですか
    こんなページも見かけましたのでリンクを貼っとくことにします。


    「けしからん」タグがつけられやすい動画は「アレ」 -ニコニココラム 日付:2009年01月27日
    http://blog.nicovideo.jp/nicolumn2/2009/01/post-18.html
    • d
    • 2009.02.16 Monday 08:59
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