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2008.10.30 Thursday

「素敵な本が読みたくて」7江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』

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    『Gファンタジー』に連載している「素敵な本が読みたくて」の7回目が11月号に掲載されました。


    『Diabolic Garden』の白木苺先生セレクションで読んだ本は、江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』

    “「だから、コインの裏表のように、犯罪者と探偵は、退屈な日常をぶちこわすために共存しているのが乱歩小説の世界観なんだよ。犯罪を行う側と暴く側のおいかけっこ、トムとジェリーのような犯罪世界なんだ」”ということについて書きました。
    「乱歩だ。おもしろいぞ、乱歩の小説は」
    「は、はい。ドキドキしました」
    「乱歩の小説の主人公の多くは、倦怠している。「屋根裏の散歩者」の主人公、郷田三郎も“どんな遊びも、どんな職業も、何をやってみても、いっこうこの世がおもしろくない”のだ」
    「「屋根裏の散歩者」って名探偵明智小五郎が登場するのですが、主人公は犯罪者側なんですよね」
    「そのとおりだ。それどころか、郷田三郎が犯罪に興味を持つきっかけは、カフェで明智小五郎が、猟奇犯罪の話をえんえんとしたからなんだからな」
    「“明智の雄弁な話しぶりを聞いていますと、それらの犯罪物語は、まるで、けばけばしい極彩色の絵巻物のように底知れぬ魅力をもって、三郎の眼前にまざまざと浮かんでくるのでした”って」
    「そうなんだよ。明智は、どれだけ猟奇犯罪を魅力的に語ってたんだろうな」

    余談。
    今読んでいる本。
    身体の内部のどこかに、いやはっきりと、上腹部に向けて腕を直角に曲げると丁度手首が来る位置辺り、そこに充たされない空洞があり、充たされることをもぞもぞと内部から求めている。充たすものは内部にはなく、欠如はつねに外部に向かう。求めるもの、欠如の埋め合わせとなるものは、ときとして意識の中で形象化され、味蕾はなにも刺激を受けていないため知覚していないにもかかわらず、唾液腺から唾液があらたに分泌され、はっきりと脳は味覚をイメージしている。なぜ、形象化されたそのものが、他よりも優先的に選択されたのかは理由らしい理由はないが、一旦映像がこびりつくと、意識はそればかりに囚われてしまう。(…)いずこよりか訪れて、わたしの欠如を充たすべきものとして志向されるのである。志向に先立って、欠如がある。
    と、迂遠な、だが同時に一直線に結論でもあるというようなこの魅力的な文章は、“大体このようなものが、わたしが経験的に知っている、空腹感だ”という文に届けられるまで、約1ページ半費やされ、その後、意識と身体、意味と他者を思考していく。雑賀恵子『空腹について』P24「なぜお腹がすくのか」から引用。
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