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2008.09.24 Wednesday

トレーニングのための文章読本5冊+α

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    10月スタートする新シーズン「文章力トレーニング講座」は、テーマとテクニカルの両面から攻めていくよー。
    全員が、表現することについての「何か」を実感できるように、考えて、書いて、さらに考えていく講座になります。
    前シーズンの受講生は、30人ぐらい、10代から40代(50代も来て!)、男性のほうがちょっと多い、ぐらいの感じ。みんなでワイワイやったのでした。今シーズンも、ワイワイやるんだけど、もう少しテクニカルな部分やワークショップ的な軸をメインでやる予定。気楽な感じなので、気軽にぜひ。

    で、より講座の内容を深めていきたいと考える人のために、講座の概要(予定)と、その回のガイドとなる本を予告しておこう。
    推薦図書は、講座受講前に読むもよし、受講後に読むもよし、もちろん読まずに受講してもまったく問題ない。ぜんぜん読んでないよーって状態でも、ぜんぜんかまわない。気になった本があれば読んでみてよ、ぐらいの気持ちで紹介します。

    ■第1回
    【テーマ】「文章を書く」のは何故むずかしいか。
    【テクニカル】最初に書き出すこと
    【ワークショップ】「自分マトリクス」「8m」

    【推薦図書】斎藤美奈子『文章読本さん江』
    谷崎潤一郎からスタートし、さまざまな「文章読本」を読み解き、痛烈に平明に批判する。まずこれを読んでおくと、へんな文章技術に惑わされて、とんでもないところに迷い込まなくてすむ。いかに「文章読本」たちがいかに類型的で、ピント外れなことをやってきたかがスッキリとわかる凄い一冊。
    ・目次
    1 サムライの帝国
    書く人の論理―文章読本というジャンル
    静かな抗争―定番の文章読本を読む
    2 文章作法の陰謀
    正論の迷宮―文章読本の内容
    階層を生む装置―文章読本の形式
    修行の場―文章読本の読者
    3 作文教育の暴走
    形式主義の時代―明治の作文教育
    個性化への道―戦前の綴り方教育
    豊かさの中で―戦後の作文教育
    4 下々の逆襲
    スタイルの変容―文章読本の沿革
    様々なる衣装―文章読本の行方


    ■第2回
    【テーマ】何を書くべきか
    【テクニカル】「、」をどう打つのか
    【ワークショップ】「サウンドスケープ」「取材・選択・構成」

    【推薦図書】本多勝一『日本語作文の技術』
    作文技術の原理を追究したロングセラー。日本語の語順の基本原則、句読点はどう打つか、言葉がかかる順序の原則(形容する言葉をどのような順序で並べるとわかりやすいか)などは、一回理解していると、文章を書くスピードと精度が確実にアップする。文法規則ではなく、あくまでも「わかりやすい文」という点にこだわった原則であるところが、いい。
    しかも“原則を先に覚えてから作文するのではなく、作文の内容に疑問を感じたときに上記の原則を考えてみる”というスタンス。「これが原則だ」と押し付けるのではなく、構造を分析し、実際に「原則から外れると読みにくくなる」「誤読される可能性が高くなる」という例をあげて、ひとつずつ理詰めで進めていく書き方が説得力を持つ。
    ・目次
    第1章 なぜ作文の「技術」か
    第2章 修飾する側とされる側
    第3章 修飾の順序
    第4章 句読点のうちかた
    第5章 漢字とカナの心理
    第6章 助詞の使い方
    第7章 段落


    ■第3回
    【テーマ】書く前にすべきことは何か
    【テクニカル】収集と取捨選択
    【ワークショップ】「調査法」

    【推薦図書】野口悠紀雄『「超」文章法』
    “「ためになり、面白く、わかりやすい」文章”のためのマニュアル。文章そのものをいかに上手く書くか、という問題より「前の段階」である「メッセージの明確化」「プロットの構築」に力点を置いているのが特徴。文章そのものを上手く書く方法を「化粧」と呼び、「化粧」は“文章の成功にとって、せいぜい二割以下のウェイトしかない”と説く。これは、とても正しい(といっても、だから大切じゃない、という意味ではなく、そこだけに腐心していても無駄だということ)。
    実際に本書でも、「化粧」について述べられるのは、第5章と第6章のみで、それ以前の章は、それよりも「前の段階」について述べられている。
    ・目次
    第1章 メッセージこそ重要だ
    第2章 骨組みを作る(1)−内容面のプロット
    第3章 骨組みを作る(2)−形式面の構成
    第4章 筋力増強−説得力を強める
    第5章 化粧する(1)−わかりにくい文章と闘う
    第6章 化粧する(2)−100回でも推敲する
    第7章 始めればできる


    ■第4回
    【テーマ】組み立て方
    【テクニカル】文の長さ・段落をどうするか
    【ワークショップ】「ペンコミュ」「構成法」

    【推薦図書】別役実『舞台を遊ぶ』
    タイトル通り演劇の本だが、すごいモノはジャンルを軽々と飛び越える。フェルメールの絵を具体例として、“舞台には、上手から下手に風がゆるやかに吹いている”ことを実感として手渡そうとするところからはじまり、“そのそれぞれがすべて、今日の「情報化社会」への、異議申し立てなになっている”という「演劇」における情報伝達手段の特色でおわる。
    「文章力トレーニング講座」で、参加者がひとつのテーマで文章を書き、それぞれを読み、実際にひとつの空間で出会う、対話するという方法を取っているのは、まあ、異議申し立てとまでは言わないが、偏った情報伝達(ネット上での議論にすらならない不毛さとかさ)で疲弊して、迷わないようにするためでもある。
    ・目次
    演劇の中へ
    身体を取り扱う
    言葉を取り扱う
    戯曲を取り扱う
    劇中に入る
    空間を立ち上げる
    演劇の立場

    伝わるとはどういうことなのか。何%伝わっているのか。そもそも伝わるのか。


    第5回
    【テーマ】推敲の方法
    【テクニカル】文章の仕上げをどうするか
    【ワークショップ】「イエスアンド」「推敲法」

    【推薦図書】永江朗『不良のための文章術』
    “正論を書いてはいけません。なぜなら、正論はつまらないからです。”“誰もあなたのちっぽけな『自分』、ありもしない『ほんとうの自分』なんか読みたくありません。関心もない”「お金になる文章の書き方」というスタンスがはっきりしているので、ぱりっと潔い。
    とくに、実際の原稿をサンプルにして、どこをどう書き換えるのか、どう考えて推敲していくのかを、解説する部分は具体的でおもしろいし、ピンとくる。
    どう書くのか、どう書き終えるのかの指南書。
    ・目次
    1 「不良」になるための心がまえ(「不良の文章」ができるまで
    投稿上手とプロはここが違う ほか)
    2 本の紹介文を書こう(『窓ぎわのトットちゃん』を例に(切り口を考える
    地図的感覚と年表的感覚
    文章をどう読みやすくするか)
    『帝国』を例に(「むずかしい本」を紹介するには
    補助線を導入する
    読者層と文章の関係
    若者向け雑誌の原則) ほか)
    3 取材して書く(グルメ記事を書くための鉄則
    B級グルメ篇「とんかつ屋」を書く―味覚をどう表現するか ほか)
    4 コラム・エッセイを書く(「モノ」コラム―自由作文型への取りくみ方
    辛口人物評―課題作文型への取りくみ方)


    第6回
    【テーマ】書き続けるために
    【テクニカル】書き続けるために
    【ワークショップ】書き続けるために
    【推薦図書】好きな本
    あなたが今までに読んだ本のなかで一番好きなものを、もう一度読んでみてほしい。読みながら、どうしてこの本が好きなのか考えてみる。その本と対話してみる。その対話をひろげることが、どれだけ幸せなことか想像してみる。そこから、書くことがはじまる。


    ■その他の参考本
    大塚英志『物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン』
    カードを使ったり、他の小説のプロットを抜き出して構成したり、具体的なプロットやキャラクターの作り方を解説した本。ハウツーでできるところはハウツーでやることが、それ以外の部分の重要性を支えるということを明示した。

    塔島ひろみ『楽しい「つづり方」教室』
    くすくす笑いながら頭の中がかゆくなってくる快感がある文章読本を超えた文章読本。

    佐藤克之『カーツの文章読本』
    “文章”じゃなく、ためしに“ぶんちょ”とプリティ感覚で考えてみろ、と勧める本。役立つしおもしろいし。ハニャ?

    平田オリザ『演劇入門』
    リアルとはどういうことか、言葉をそろえるにはどうすればいいのか、演技・演出とは何か。演劇のためだけの本ではなく、言葉や伝えることについてたくさんの刺激を与えてくれる一冊。

    高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』
    「小説家は、小説の書き方を、ひとりで見つけるしかない」ということを誠実に記した一冊。

    保坂和志『書きあぐねている人のための小説入門』
    「確立した技術論、方法論、スタイルを踏襲したら、もうそれは小説ではない」ということを誠実に語った一冊。

    中島梓『小説道場』
    「JUNE」に連載されていた耽美な美少年小説の道場だが、ここまで具体的で熱い小説入門は他にはない。

    佐藤正午『小説の読み書き』
    小説を読むことは書くことと同じである、ということを具体的な作品を例に挙げながら「読み書き」していく本。

    木下是雄『理科系の作文技術』
    “読者につたえるべき内容が事実(状況をふくむ)と意見(判断や予測をふくむ)にかぎられていて、心情的要素をふくまない”文章を書くための技術書。

    『高校生のための文章読本』
    高校生向け国語教科書。「良い文章とは自分にしか書けないことをだれが読んでもわかるように書いた文章である」というのは、理念としてわかりやすく美しい(「文章力トレーニング講座」では、この理念の先にあるものを扱っていきます)。

    『怪談の学校』
    京極夏彦、木原浩勝、中山市朗、東雅夫の四人が怪談の書き方をレクチャーした本。怪談に限らず文章を書くときに役立つヒント有。“「生首が飛んだ」という文章だけでは、それが怖いかどうかというと怖いわけない。でも無意識のうちにそういう書き方をしてしあむ人が多いのは、「生首が出てくれば怖い」という概念を何かで知っているからであって、おそらく生首ってなんだろうってことすら考えていない(…)「怖いとは何か? 何のどこが怖いのか?」を考えず、自分がかつて読んだ文章、見た映像をそのまま移植している人が多すぎる気がします”P31

    ・「他にも、こんな本がおもしろいよ!」とかあったら教えてください。

    大阪で「発想力トレーニング講座」をやります。9月30日、10月7日の2日間。

    ・東京では、10月4日から。池袋コミュニティカレッジで、文章力トレーニング講座。毎月全6回。
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