2008.08.26 Tuesday
『ライプニッツ―なぜ私は世界にひとりしかいないのか』感想
『西田幾多郎―「絶対無」とは何か』がおもしろくて、薄いし、核がしっかりしてて、本そのものの立ち振る舞いもいいなーって思って、その後に手にした『デイヴィドソン ~「言語」なんて存在するのだろうか』
もおもしろくて、どちらも「哲学のエッセンス」ってシリーズの本。
そうなってくると、同シリーズの他の本たちも気になるわけだけど、たくさん、えーと30冊ぐらい出てて(公式)、これ全部おもしろかったら、人生変わるな(いや、哲学の本ってたいして読んでないので、読書地図が変わっちゃうから)。と思って、嬉しいやら、ちょっと戦々恐々やら。
山内志朗『ライプニッツ―なぜ私は世界にひとりしかいないのか』が、
“世の中に、まったく同じ2枚の葉は存在しない。では、「唯一」とはどういうことか。天才ライプニッツの思想を“自分”を手がかりに解き明かす。 ”って、おもしろそうなので次はこれ(って、シリーズ全部読む宣言じゃないよ)。
と8月2日書いてから、一ヶ月弱かかって、ようやく読み終わった『ライプニッツ―なぜ私は世界にひとりしかいないのか』。
薄い(P123)が、あれこれ考えながら読むので、時間がかかった。
しかも、そういう読書なので、感想も単純にひとまとまりにして書きにくい。
『西田幾多郎―「絶対無」とは何か』と『デイヴィドソン ~「言語」なんて存在するのだろうか』もたいそうおもしろかったのに感想を書いていない。かんたんに書けないのだ。
『ライプニッツ―なぜ私は世界にひとりしかいないのか』の終わり近くで、「なぜ私は世界にひとりしかいないのか」という問いに対して、“<自分>とは、おそらく「謎」である。”とひとまずの返答が用意される。そして、「問い」と「謎」の違いが語られる。
“「問い」において求められているのは「答え」である。「答え」が与えられていないから、「答え」を手にするべき探求がなされる。思考のベクトルは、「問い」から「答え」の方に向かっている。
他方、「謎」において、求められているのは答えではない。たとえば、「なぞなぞ」において問われているのは、答えなのではない。(…)「柱時計」という答えが求められているのではなく、「上は工場、下はブランコ」という字義どおりに考えれば、不可能な語り方をして、日常的な語り方の次元とは違う場面での営みであることに気づかせ、「柱時計とはいかなるものか」を比喩的に説明しようとするものだ。問われた子どもは、「上は工場、下はブランコ」という述語が該当する事物を頭の中でいろいろ探し回り、頭の中でかけっこやぐるぐる回り(眩暈)を楽しむことができる。”
「問い」と「謎」という項の立て方は、「生きている問題」と「死んでいる問題」(

そういう意味では、ぼくにとって、仕事や読書や文章を書くということは、「問い」ではなく「謎」なのだ。答えを求めているわけではなく、頭の中でかけっこやぐるぐる回りを楽しむために、“謎を生きること”だ(と、書きながらも、えーと、ではでは、でもですね、と考えはじめるから、感想が書きにくいわけです)。
「哲学のエッセンス」シリーズ、

次は、これを読んでみよう。
こどもそ関連
・「シリーズ・哲学のエッセンス」
・自己主張しないほうがトクであるという戦略
・川上未映子「わたくし率 イン 歯ー、または世界」読んだ
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