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2008.02.11 Monday

『ほんとはこわい「やさしさ社会」』と『ルピナス探偵団の憂愁』

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    あいかわらず本は読んでるんだけど、以前ほど感想を書かなくなった。のは、感想を書くと、そこで早急に頭の中でまとまってしまうのが、もったいないなーと思うようになったから。
    きゅうっと自分の頭ですぐにまとめるより、あれこれじっくりゆっくり考えていたい。のだが、感想を書くという行為が、それを邪魔している気がしたので。

    つまらない本は読んでも紹介してない。おもしろい本だけ感想を書いていた。んだが、こうなってくると、あれこれ考えたいおもしろい本も紹介できなくて、おもしろくてまとめやすい本だけ紹介するようになっちゃう。そうなると、ちょっとつまらないなーという気もしてくる。
    というわけで、タイムラグは発生しちゃうけど、あれこれ、今でも考えて頭の中に甦る本を、一ヶ月遅れで紹介することにした。
    先月読んだ本のベスト(非小説と小説にわけた)です。

    森真一『ほんとはこわい「やさしさ社会」』を読んで手に入れた視点で、いろいろなものを再検討している日々。
    感想(「適応」と『ほんとはこわい「やさしさ社会」』)を書いているけど、これを書いたのも読んでからけっこう経って書いているうえに、中盤以降についてはあまりふれていない。ので、ああ、もうちょっとちゃんと書きたいなーと思っていた。ら、
    スクールカーストは、現代社会に浸透した「人格崇拝」と、そこから必然的に発生した「予防的やさしさ」が根っこになっていたんだよ!:純粋なココロ 2.0で詳しい紹介が。ありがたい。
    少年少女向きの新書レーベルで、すらすらっと数時間で読めるけど、そうとう頭の中の配線を変えてくれる一冊。コミュニケーションについて興味がある人はぜひ。

    津原泰水『ルピナス探偵団の憂愁』は、単独でも読めるけど、津原泰水『ルピナス探偵団の当惑』から読むほうがいい。上下巻ぐらいの気持ちで読んだほうがいい。
    津原泰水『ブラバン』(感想→津原泰水『ブラバン』、いい!)は、去年読んだ小説のベストだった。このルピナスのシリーズも素晴らしい。
    上巻の『ルピナス探偵団の当惑』は、青春本格ミステリの連作短編集。ミステリとしてももちろん楽しいのだが、登場人物が魅力的で、すぐにファンになってしまう。
    学生である彼・彼女たちの成長していく様子が、ていねいに描かれている。サザエさん的な繰り返しの世界ではなく、各編の時間経過によって、登場人物の成長や、立場や、関係性が変化していく様子が読む側に伝わってくる。
    それがあるから、下巻の『ルピナス探偵団の憂愁』を読むときに、衝撃を受ける。
    上巻では学生だった“私たち”は、みんな社会人になっている。そして、“さようなら摩耶”と帯にあるように、摩耶が死んだところから第一話がはじまる。
    ここから時が遡る。卒業を目前にして殺人が起きた学園での“祝福”を描く第四話まで、各話の時間関係は、過去へ進行していく。この構成が、小説として、めちゃくちゃ効いている。
    学園探偵小説であり、本格ミステリであり、逆回しの時間で描かれる青春小説でもある。ぼくは『ルピナス探偵団の憂愁』の最初と最後、二度泣いた。
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