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2007.11.09 Friday

ケータイ小説を理解している人をニュータイプとか言う人間は既に老害化しているという衝撃の事実

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    「ケータイ小説を理解できない人間は既に老害化しているという衝撃の事実:Aerodynamik - 航空力学」を読んだ。
    『恋愛小説ふいんき語り』の準備で、ケータイ小説やらその周辺を読んだり調べたりしたので、ちったー知ってるから異論となえとくよー。

    「Aerodynamik - 航空力学」によると、ケータイ小説の特徴は、
    >小学生が書いたかのように稚拙な文章。
    >ただ泣かせる為だけに考えうるだけの不幸を並べ立てた不感症のような展開。
    >どの本もセックスとレイプと病死が判で押したように繰り返される構造。
    だそうだ。

    んで、
    >これは紛れもなく文学のニューウェーヴなのだ。
    >「ケータイ小説」の読者層であるあいつらはニュータイプなんだよ。
    という主張がなされるのだ。

    「小説ジュニア」という少女向け小説誌があった。
    一九七六年に創刊された「コバルト文庫」は、この雑誌に掲載された小説をまとめる目的で創刊されたのですね。
    思春期の愛と性を扱った作品が中心で、
    “なんか妙にいやらしっぽい少女小説”(正木ノンの発言。久美沙織『新人賞の獲り方おしえます』より引用)だったのです。
    そこに「愛の告白体験記」ってのが毎号載っていました。
    たとえば七九年八月号には
    「衝撃の読者告白 体験記 いま愛と性に悩みぬくわたし『ひと夏の浜辺に“性の地獄”を見た!」という惹句で
    「初恋から中絶までなまなましいティーンの愛のかたち」
    「妊娠! この現実に直面したふたり」
    「売春までしたのは誰のため?」
    といった読者告白が掲載されています。

    と、ここまで書いたらおわかりでしょう。
    ケータイ小説と同じような小説は、むかしーーーーっからあるのです。
    一九七〇年代からあるのです。
    「愛の告白体験記」は、
    ・ティーンが主人公
    ・告白体験なので文章も稚拙っぽく(売り出し中の作家が代筆していたそうです)
    ・セックスとレイプと病死が頻出
    ・不幸の連続で泣ける
    と、
    ケータイ小説の特徴とまったく同じ。

    そういえば、
    ケータイ小説の多くが作者の体験告白というスタイルを取っているのも偶然ではないでしょう。

    ケータイ小説は「文学のニューウェーヴ」なんかではなく、
    大昔から少女は、こういう小説を読んでいたのです。
    多くの少女たちの実感や気持ちといっちするから、
    表層的な形を変えて、このスタイルの本が
    ずーっと読まれつづけているのです。
    (だから、こういう本を読んで、少女たちが今をどう感じ取っているかを考えることは、とても大切なことだと思います)

    いちいちブームになったからといって
    大人たちが、大仰に褒めたり、けなしたり、祭り上げたり、馬鹿にしたり。
    そういう大人を見て、少女たちは、どう思うのでしょうか。
    (↑なんだ、この終わり方)


    ■追記
    こういう話題で連想するのは、神林長平のダークな青春SFの傑作『七胴落とし』
    テレパシーを使って大人とは違う世界観を作り上げている少年少女たちを通じて思春期の閉鎖状況の異形さを描いた傑作。誕生日おめでとう。

    ■追記
    補足説明:ケータイ小説の新しさと古くささ

    ■関連
    久美沙織『コバルト風雲録』
    花井愛子『ときめきイチゴ時代―ティーンズハートの1987‐1997』
    斎藤美奈子編著『L文学完全読本』
    麻野一哉×飯田和敏×米光一成『恋愛小説ふいんき語り』(ポプラ社)(もうすぐ発売!)
    ■関連話題
    いきものがかり『茜色の約束』の歌詞の時間感覚とか
    武者小路実篤『友情』編・「日本文学ふいんき語り」トークイベント@立川オリオン書房

    恋愛小説ふいんき語り、大人力祭り!12月14日!
    コメント
    ま、そうですな。読みたいものを読めば良いわけで。全然読まない人たちがケータイ小説を入り口に文学の深い井戸にもぐっていくという可能性もあります。相対的なんですよ、世の中は。
    • 2007.11.09 Friday 18:54
    最近は少女漫画の性的描写が問題視されてるみたいですけど、一時期はセブンティーンやポップティーンなどの雑誌の読者投稿がすごかったみたいですよね。読んだこと無いけど。
    昔から年頃の女の子はそういうストーリーに惹かれるものなんですかねぇ。
    いいんですよ、いつだって大人は若い人たちに対して無理解で理不尽で。
    で、そんな大人を乗り越えるですよ、若い人たちは。
    悔しかったら乗り越えろってなもんですよ。
    わたしは意図的に意地悪ばばあになってやる所存です。
    • トヨザキ社長
    • 2007.11.12 Monday 17:04
    はい。人は他者に対して無理解で理不尽だったりすると思います。年齢の差があれば、なおさら。
    だから、(対決という方向も含めて)できる限り理解し合えると良いと思います。
    • 米光
    • 2007.11.12 Monday 22:27
    というか、「恋空」に対する米光のスタンスは、ぜひ『恋愛小説ふいんき語り』を読んでくださいデス!
    • 米光
    • 2007.11.13 Tuesday 10:53
    「ギャ!グッワ!待ってくれ!待ってくれ!」
    オヤジは、叫んだ。
    「許してくれよ!入れたかっただけなんだから」
    「バキッ!ボコッ!」
    ケンはかまわず殴り続ける。
    「ヒッー!助けてー!助けてー!」
    オヤジが悲鳴に近い叫び声をあげた。
    「お前みたいな奴がいるからいけないんだ!」
    ケンが叫びながら殴り続ける。
    「ギャー」
    オヤジの血があたりに飛び散った。ケンのコブシも血で染まっている。
    「世の中!狂ってんだよ!狂ってんだよ!」
    ケンの形相は、もうフツウではなかった。その様子を見ていた、ミクも従業員も言葉を失ってしまっていた。
    思わずミクが言った。
    「店長!それ以上やったら死んじゃう!」
    「ガッシ!ボカ!」
    ケンには、まったく聞こえていない。オヤジも失神したのか動かなくなった。
    「キャー、やめて!」
    ミクが叫んだ。
    「あっ……はい」
    従業員が後ろからケンを押さえた。
    • これでも?
    • 2007.11.19 Monday 23:15
    「コラムの花道」
    http://www.tbs.co.jp/radio/st/20071116.html
    ここと追加とのケータイ小説のねたが、、ラジオでパクられてましたよ
    • 2007.11.20 Tuesday 14:12
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