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2007.03.22 Thursday

筒井康隆『巨船ベラス・レトラス』と梅田望夫

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    「昔、パソコン通信なんかでよくいたじゃないか。他人の意見に反論ばかりしているやつが」
    「いたいた。他人の言っていたこと一行一行取りあげて、その揚げ足取りするんだよな」
    「あれ、誰にでも際限なしにできるし、それが自分の能力だと勘違いしてしまう。ところが今はそれを一人前の評論家や何かがやってるんだ。あれだと自分の意見言わなくてすむし、反対しているだけでそれもひとつの思想みたいに見えてしまう」P77

    「直感を信じろ、自分を信じろ、好きを貫け、人を褒めろ、人の粗探ししてる暇があったら自分で何かやれ。」って梅田望夫のアジテーションが話題になってる時に、ちょうどシンクロするような台詞も出てくる筒井康隆『巨船ベラス・レトラス』
    イッキに読む。
    さまざまな作家、編集者、作家志願者などが登場して「小説とは?」について語る小説。
    当然、次々と直廾賞選考委員をぶっ殺す(しかも実在の人物がモデルになっていることは明白に分かる)という暴走大傑作筒井康隆『大いなる助走』を思い出すが、『大いなる助走』が猛進する感じだとすると、こちらは多層的な感じ。

    キャラクターが小説について語るので、つまり論文とか作者の一人称の主張ではないというエクスキュースで、乱暴なことが言えて、いやそれどころか、真反対の主張をさせることすら可能で、なんというか、「おお、われわれはどこへ向かっているのか。」という帯の文句のように、ベクトルの向きが乱暴に針を振るようなおもしろさ。それでいて、ある方向へ船は進んでいく。
    映画界のスタアが芸能について語り合う筒井康隆『美藝公』での、あのエキサイティングな対話を思い出す。

    現実の出来事である「短編集無断出版事件」すらも取り込み、虚構のレベルが行き来するタイミングも、「まさしくここで!」って感じで、安心して読める、というか、実験作なのに安心して読めちゃいけないじゃないか、という気もするが、しかし、筒井康隆ぐらいになると、もはやこれだけのことをしても、安心して読めるというのが凄い凄いと思いながらイッキに読む。いや、再読して、安心してるどころじゃなかったよ!と、改めて驚愕してしまいそうになる予感もあるが。
    コメント
    はじめまして、読書飛行中のカモメです。
    小説だからこそ、いや筒井康隆だからこそ「文学」というカイブツに対峙できたのだと思います。
    blog「ジョナサンの読書飛行」見ましたよー。いや、もう、ならば、『大いなる助走』と『美藝公』はぜひ読まなきゃ、ですよ。ぶっとぶよ。
    • 米光
    • 2007.03.29 Thursday 12:24
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