<< 走れメロスをゲーム化! | main | 脳を鍛える大人のDSトレーニング >>
2006.03.31 Friday

文章を書くときに役立つ辞書『類語国語辞典』

0
    電子辞書を買ってから、紙の辞書はあまり使わなくなったが、いまだに使いまくってる辞書がひとつだけある。
    角川の『類語国語辞典』だ。
    言葉を意味別に分類して並べているシソーラスというタイプの辞典。大きい版とコンパクト版の2冊、持ってる。
    自然、天文、歴日、気象、地勢、性状、位置、形状、数量、実質…………と「語彙分類体系表」があって、その体系にしたがって言葉が並んでいる。
    たとえば文章を記すとき。「気が張る」の直後に「張り詰めた」って書いてしまったりする。推敲していると、そういうことを見つけたりする。同じ「張」が続くのは不粋だと思えば、すぐこの辞書をひく。索引で「気が張る」を引いてそのページを見る。「悲喜」の項の中の「焦慮」の項の中の「緊張・弛緩」の項の中に「気が張る」は、ある。辞書を引くと、その言葉が「語彙分類体系表」でどの位置にあるか解る。
    引いた言葉の類語が並んでいるタイプの類語辞典だと「気が張る」の類語が並んでいるだけだが、この辞書だと、隣の項目も近い関係の言葉なのがいい。
    たとえば、「気が張る」が分類されている「焦慮」の前後は、「恐怖」「満足」の項だ。前後を見ることによって、その言葉のひろがりを感じることができる。
    言葉を類語に置き換えるのじゃなくて、もう少し別の文脈を検討する材料になる。
    「中心」を引くと、「真ん中」「中程」「中央」といった類語はもちろんだが、「端」「先」「間」「隅」といった項目が目に入る。さらにページをめくっていけば、「底」「奥」「入り口」「上下」「前後左右」「内外」と、どんどん言葉が拡がっていく。本来の目的を忘れて、ついつい見てしまうこともある。

    序の言葉を引用しよう。
    “語彙が豊富であるとは、一つの単語と潜在的関係を保っている単語を、数多く思い浮かべることができるということである。学習者の語彙を豊かにするとは、個々の語を、ばらばらに数多く記憶することではなく、本書に示したような、群としての単語を豊富に持ち、それを場に応じて的確に使用できることである。”
    “二十年の歳月を要した。著者の一人浜西正人は、殊に、もっぱらこのことに従事して、模索し考案し努力を続けようやくここに至ったのである。”
    たとえば、“模索し考案し努力を続け”の「模索」「考案」「努力」の3つの言葉は、この辞典では、分類項目の426番、422番、438番だ。近くに配列されていて、一つ単語を引いてパラパラしていると見つかる。こういう畳みかけるような文章を書きたいときにも便利だ。

    『類語国語辞典』の電子版(『角川類語新辞典 for ATOK』)もある。欲しいとたびたび思うけど、どうも、こういった前後をパラパラ見るのは、紙のほうが楽しい気がして、この辞書だけは電子版に移行できないでいる。
    文章を書くときにとても便利です、オススメ。

    【キーワード】
    シソーラス
    辞典
    類語
    語彙分類体系
    意味
    潜在的な関係
    単語群
    分類・配列
    索引

    【関連】
    『日本語版大シソーラス』も気になるのだが、巨大な辞書って、手になじむまで時間がかかるし、なかなか気軽に引けないからな。こういうのこそ電子版(『日本語版大シソーラスCD-ROM版』)か。
    コメント
    管理者の承認待ちコメントです。
    • -
    • 2018.02.23 Friday 15:13
    コメントする








     
    この記事のトラックバックURL
    トラックバック
    Calendar
         12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31      
    << March 2024 >>
    Selected Entries
    Categories
    Archives
    Recent Comment
    • 文章を書いたらチェックしたい17の項目改2
      米光 (06/13)
    • 「キングオブワンズ」またも復活
      頼鳥 翠 (02/20)
    • 『魔導物語』20周年記念メモ
      /Tachesci (11/23)
    • 「アンチオレンジレンジ」サイトが「オレンジレンジファン」サイトになってる理由
      x hot アイアン (08/13)
    • 発想力トレーニング講座「想像と言葉」
      おやつ (06/22)
    • 宣伝会議編集ライター講座上級コース第7回目
      米光 (04/28)
    • 宣伝会議編集ライター講座上級コース第7回目
      通りすがりA (04/27)
    • 偶然を味方につける
      う。m (03/17)
    • 「人生は神ゲー」と考えてみるゲーム(ゲーミフィケーションについて3)
      もやし (01/22)
    • 日本公式萌えキャラ「ひのまるこちゃん」とか作ればいいんじゃないか。
      笹 (06/17)
    Recent Trackback
    Recommend
    自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法―“企画の魔眼”を手に入れよう
    自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法―“企画の魔眼”を手に入れよう (JUGEMレビュー »)
    米光 一成
    “「ぷよぷよ」を作った人気ゲームクリエイターが、若手育成カリキュラムの中から生み出したトレーニング法を公開!”
    Recommend
    仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本
    仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本 (JUGEMレビュー »)
    米光 一成
    「楽しいプロジェクト型」で仕事を楽しくデザインするための攻略本。
    Links
    Profile
    Search this site.
    Others
    Mobile
    qrcode
    Powered by
    30days Album
    無料ブログ作成サービス JUGEM