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2013.02.18 Monday

ツイッターと『桐島、部活やめるってよ』と現代の錯綜

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    【All About News Dig】連動エントリー


    『桐島、部活やめるってよ』DVDリリースしてたので観た。
    神木隆之介演じる前田涼也は、映画部にいる映画大好きボンクラ少年。
    顧問が押しつける脚本を拒否して、自分たちが作りたいゾンビ映画『生徒会・オブ・ザ・デッド』を撮影していく。ってのが主軸(といっていいのか)。

    スクールカースト的に下層であったオタクの前田くんが、映画館(鉄男!)でクラスメイトの美少女と出会うなんてのは、映画好きボンクラ夢想ジャストミートで、まっすぐすぎるほどまっすぐ。
    どの世代だろうが(ボンクラ男子であれば)共感し感情移入できる普遍的な青春映画だ。

    普遍的でありながら、同時にこの映画がとても現代的なのは、視点の在り方だろう。
    時間をシャッフルし、同じエピソードを視点を変えて繰り返す。
    従来の青春映画なら、映画部の前田くんを軸に押し進めただろうが、この映画では、それ以外の、リア充なイケメン男子、リア充女子、吹奏楽部の部長、さまざまな人物の視点から同じエピソードが描かれる。
    それぞれの視点から映し出されることによって、ひとつの現実が人によって異なるものとして感じられていることが分かる。
    一視点からしか見えていない登場人物たちより、起こったことの全貌は、詳しく観客に手渡されるが、すべてが判然とするわけではない。欠けたピースが残ったままになっている。

    『桐島、部活やめるってよ』を、たとえば1980年代に観ていたら、どう感じていただろうか。なんだかバラバラで、散漫な作品だと思ったのではないか。主人公じゃない人がいっぱい描かれていて、物語が一直線に進んでいかないので、なんだか分からない!
    ところが、現代の我々は、この錯綜し、いきつもどりつし、多層的に描かれる物語を、リアルに感じる。

    インターネットの登場で、個人が情報を発信できるようになった。たとえば同じ事件について、いままでだったら公にできなかったようなさまざまな考えが表現できるようになり、さまざまな人がいることがツイッターなどで可視化されるようになった。
    多様な視点がバラバラに編み込まれて並べられる情報網にまみれて生きている。
    その物事の捉え方の変化は、我々が想像するよりも影響の大きいことだったのではないか。

    そして、その捉え方が、へんなふうに悪用されるのではなく、他者について想像を巡らせることに使われれば、映画のラストシーンで、スクールカースト的に隔たれていた二人が認め合っていたように、我々はお互いをもっと認め合うことが可能になるのではないだろうか。
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