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2012.01.26 Thursday

井上明人『ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える』読書メモ

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    『ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える』を読んでる中。
    メモと感想を記録していこう。

    ■まえがき
    2011/03/14、著者の井上明人が、電気メータの数値を記録するシーンからはじまる。
    “「節電」をもとにしたゲームができるかもしれないと思い、テストプレイをすることが目的だった”。
    以前の電気使用量より節電できるかというレースゲームの「ゴースト」的な仕組みと、上手な運用を巧みに駆使する「RTS」的なゲーム感覚。これはゲームになるかもしれない予感をもとに、#denkimeter という節電ゲームを構想していく。
    予想以上の反響になる。
    「斜め上の発想」「悪ふざけ」などなど。
    それに対して著者はこう記す。
    “私は、そのことに少し驚いた。節電をゲームにすることは「斜め上」でもないし「悪ふざけ」でもない。ゲームを知る人間が、震災直後に必要とされるであろうことを、当たり前にしただけだ。
     もちろん、私のしたことが「意外」に見えた理由は、頭ではわかっている。多くの人が「ゲーム」の力が機能する世界を見ていないからだろう。”
     
    ゲーミフィケーションを“ゲームの考え方やデザイン・メカニクスなどの要素を、ゲーム以外の社会的な活動やサービスに利用するもの”と定義する。

    2011年、ガートナー社が注目すべき大きなテクノロジーとして「ゲーミフィケーション」という概念を選ぶ。

    “「ゲーム」を使えばたのしく、ある程度まで継続的に取り組むことを可能にしてくれる。まずは、そのことの説明からはじめていきたい。”


    PART1は、オバマの事例。
    「一人ひとりが自分の問題として捉え」という政治家の決まり文句、いくら繰り返し言っても自分の問題として捉えてもらうのは難しい。でも、ゲーミフィケーションを使えば……という展開は説得力あるなー。

    オバマが選挙戦で使ったゲーミフィケーションが紹介される。
    (このあたりは「オススメ!たこつぼ教養百科」第5回でとりあげた)
    SNS的な「マイバラクオバマドットコム」は、ログインすると自分のプロフィールページが作られ、レベルが★で表示される。
    電話をかけたか、戸別訪問をしたか、メールを出したか、それらがデータと集積されて、レベルアップしていく。 最初は「登録」「個人情報入力」なんて簡単なミッションになってて、難易度調整もバッチリ。
    “「小説」はその「物語」を載せるメディアだ。そして、「物語」は社会のあらゆる面において大きなインパクトを持った現象である。「ゲーム」という現象もこれに似ている。”

    PART2は、歩数計→『ポケットピカチュウ』→『ナイキプラス』という進化を追って、「物語」「ソーシャル」「ゲーム」の関係性に迫る。
    「ナイキプラス」は、歩数だけじゃなくて、移動距離、移動速度、時間が測定でき、それがネットでシェアできる。
    “東京で走りながら、北海道の大学時代の友人や、ネットで見つけたランニング仲間とともに走ることができる。(…)仲間うちの誰よりも遅かったりすると、「IT(イット)」と呼ばれるビリ扱いになってしまう”。

    わかりやすく伝えやすい「物語」でニュースはスケール=拡散する、というビジネスっぽい話から、「ソーシャル」のスケール話に展開。
    DARPAの「赤い風船を探せ」プロジェクト、「ワッパー・サクリファイス」、セカンドライフなどの事例が紹介される。

    「ワッパー・サクリファイス」の事例が、ネタ消費なので、ジョークで、ゲームじゃないと切り捨てられちゃう(この本の文脈ではまっとうな展開)。ここに付箋。考えるべきヒントがあると感じた。

    “「ゲーム」はゆっくりと飽きていく”という指摘は、おもしろい。

    サザエさんにおける「三河屋のサブちゃん」が比喩として持ち込まれる。
    っても、これはゲームやインタラクションじゃなくて、コミュニケーションなので(比喩として分かりやすくなる側面と同時に)議論を曖昧にしちゃう危険性があるなーと思う。インタラクションとコミュニケーションを混乱させるものが多くて最近気になる(ぼくも、ちょい前まで混乱して用いていた)。

    ポイント制とゲーミフィケーションは何が違うのか? P59
    外発的動機づけと内初的動機づけ。
    “ゲーミフィケーションとは、外発的動機づけとの境界線的な要素(報酬)を求めるうちに、内発的動機づけを駆動させるようなメカニズムだと言っていい。”
    ここ、おもしろい。
    本当にそんなこと言っていいの? 考えるべきポイント。
    Q&Aサービスのポイントが現実の貨幣と換金可能だったケースと、その問題点。

    つづきは、またー。
    コメント
    >ここ、おもしろい。本当にそんなこと言っていいの? 考えるべきポイント。

     ありがとうございます。
     そこは、本の外側で議論を誘発したいと思ってた部分です。いまになって弱気になると「本書の立場としては」とかって、一文が入ってたほうがよかったですね…。なんか、推敲途中で削った記憶があります。
     この本、けっこう、世間一般でゲーミフィケーションと言われているものを切り捨ててまして、ネタ消費、外発的動機付けオンリーのものetc...は、除外するという形で、世間一般でいわれている「なんでもゲーミフィケーション」よりも、けっこう狭い立場に立とうとしています。ただ、「狭い立場に立ちたいです!」ということを、どのぐらい強調しながら書けばいいのかけっこう、そこの点は迷いながら書きました。ですので、そこを突っ込んでいただくのは、良いポイントを突かれたな…という感じです。

     あと、インタラクション―コミュニケーションは、たぶん、本書での言葉遣いだと、ゲーム―ソーシャルの話かと存じます。そこらへんの書き分けの話は、なんとなく、どこらへんのことを言われているのかわかるような気もするのですが、、、今度お会いしたときにでも、ご指導いただければ幸いです!
    あ、いえいえ、もちろん「ネタ消費」を除外しているのので、ゲーミフィケーションの本質がクリアになって、よい選択だったと思います。
    だめーって言ってるわけじゃなくて、あの事例がとても興味深くて、ネタ消費以上のものを感じたので、ちょっとそこを考えてみよう、刺激を受けたーって意味でメモを書きました。
    インタラクション―コミュニケーションの部分は、ぼく自身最近ようやく「!」ってなって、気になってる部分です。いずれ議論できると嬉しいです。
    • 米光
    • 2012.01.27 Friday 15:17
    ゲーミフィケーションって、内発動機づけを補助するようなイメージがあるのですが、わざわざ「外発的動機づけ→内初動機づけ」と記すようなものって何かあったかなーと考えています。(まあ、これも、本筋に影響する話ではないので、刺激を受けて考えはじめたポイントってだけです)

    あ、あと、思いつき。ポイントカード(もちろん特殊なポイントカードはのぞく)をゲーミフィケーションに入れられるのがどうもしっくりこないのは、あれって、基本、広告だよね、と思ってるからかもしれません。
    財布に広告を入れる手段と、あとは常連がまあ、ちょっとお得、って手段であって、ポイントカードをゲームっぽいなーとか、ポイントを集めるためにやってる人ってそんなにいないよなー、そのへんでもにゃもにゃするのかも。余談だった。
    • 米光
    • 2012.01.27 Friday 15:22
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